続発性無月経
これまであった生理が3か月以上止まった状態を続発性無月経と言います。思春期から閉経に至るまでにあらゆる女性が経験する可能性があります。
なぜ続発性無月経は起こるのでしょうか?
原因を考える前に月経の仕組みを考えてみましょう。

※月経の仕組み
月経を起こすには脳にある間脳の視床下部という部分から性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)放出ホルモン(GnRH)が出ることで、下垂体に働きかけて卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)を分泌させ、卵巣を刺激し、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)が調整されることで月経が周期的に来るようにコントロールされています。
しかし、続発性無月経ではこのホルモンの分泌のどこかに何らかの原因で異常を来していることが多いです。
閉経の年齢は早くとも40歳前半で、日本人女性の閉経の平均年齢は50歳と言われており、その年齢以前に妊娠・授乳以外の理由で月経が来ない場合はきちんと原因を調べる必要があります。
一般的な原因としては以下です。
・視床下部の機能不全(過剰なストレス、過度な運動、過度なダイエットによる栄養不良、肥満、精神障害、放射線治療や頭部のケガなど)
・多嚢胞性卵巣症候群
・早発閉経(遺伝、自己免疫疾患、抗がん剤、卵巣の手術など)
・下垂体または甲状腺の機能不全(薬剤や腫瘍による影響など)
・ピル等の経口避妊薬、抗うつ薬、抗精神病薬などの薬剤による影響
・子宮の異常(子宮の手術、子宮筋腫、ポリープなど)
などが言われています。
過去に3か月以上、月経がなかったという経験をされた方は5人に1人以上と言う報告もあり、比較的身近な病気とも言えます。
無月経が続くと不妊の原因になったり、また閉経に関連して起こる問題が生じる可能性があります。女性ホルモンであるエストロゲンの濃度が低いことでホットフラッシュや腟の乾燥による炎症、かゆみ、骨密度の低下による骨粗鬆症、心臓血管系の病気のリスクの上昇などが起こり得ます。
無月経の原因としてはストレスによるホルモン異常がもっとも多いと言われています。
このストレスというのは精神的なものだけではないということに注意が必要です。例えば、肩が凝っていても気づかない人や睡眠不足なのに動けているから問題ないと放置して、疲れや痛みなど体の変化に鈍感な方も多いのではないでしょうか?実は自分は平気だと思っていても体には過剰なストレスがかかっていることはがあります。火事場の馬鹿力という言葉があるように、人間は頑張らねばと精神的に張りつめていると体が壊れるまで働いてしまうということがあります。
ストレスには肉体的なものも含まれ、栄養不足や睡眠不足、過労、飲酒、喫煙はもちろん、体内に取り入れるものも体にとっては何らかのストレスにつながります。
食事ですら消化するのにエネルギーを使うため、体にとって消化に負担がかかるもの、かつ、栄養が少ないものは体のエネルギーを奪う一方で、体はどんどんストレスを抱える可能性があります。暴飲暴食は体にとって負担ということもうなづけます。
注射・薬については特に注意が必要です。薬剤は基本的に体に入ると分解するために代謝が行われます。その過程でもエネルギーは使われます。また、一般的なお薬のほとんどは、ある特定の成分を抽出して精製された薬剤であり、人類の歴史上、元々身近にあるものではなかったため、体にとってはどれほどの負担があるのかはまだよくわかっていないものも沢山あります。今までの人間の生活では特定の成分のみを長期間にわたり摂取し続けることは不自然であり、なんとなく飲めと言われているから薬を飲み続けている場合は知らないうちに体に負担がかかっている可能性があります。某ワクチンも当初は2~3日で代謝されると言われていましたが、実際は体に2年以上も残存していたという報告もありました。検診でも閉経後に出血が起こった方については良くご相談がありましたが、それによる体内での影響は現時点でも不明なままです。

※月経に伴うホルモンの変化
月経を起こすために必要なホルモンが周期的に分泌量が変化して起こります。ストレスでホルモン分泌に変化が起こることは先ほど述べましたが、なぜストレスでホルモンの分泌が変化するのか、そのメカニズムははっきりとはわかっていません。
しかし、ストレスの回避、食生活の改善や運動習慣の改善、睡眠時間の確保、お風呂に浸かる、マッサージでリラックスするなどそういったことをきっかけに無月経が戻ることが言われています。
東洋医学的には無月経の原因として血行不良があると言われています。基本的には以下が言われています。
・体温が上がると血流は良くなり、免疫力が上昇する。
・体温が下がると血流は悪くなり、免疫力が低下する。
例えば、食事は摂取するものによっては体を冷やす場合と、温める場合がある。
運動はしないと血流が滞るのはもちろん、筋力が低下し、熱産生も低下するので体温低下につながります。
寝不足も自律神経の乱れ(交感神経が優位になる)につながり、血管収縮が起こって血流が滞りやすくなると言われています。
お風呂はしっかりと全身浸かれば体温を上げることができますし、マッサージは血流を良くしてくれます。
血流が停滞すると、あらゆる臓器への血流が低下するので老廃物が溜まりやすくなったり、本来の臓器の機能を維持できなくなる可能性があります。
そう考えるとホルモン異常と血行不全の関係は密接であると言えます。
また逆もしかりで、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下しても血行不良になり得ます。
結論、検査してもはっきりとした原因が分からない無月経に関しては、生活習慣の改善が必要と言えます。体にとってストレスとなる老廃物をしっかりと排泄するにも、各臓器の動きを正常にしてあげる必要があるのです。
そのためには各臓器の細胞一つ一つのエネルギーを高めるためにしっかりとした栄養素(ビタミンやミネラル)の補充、そして吸収した栄養素をしっかりと各臓器に運ぶには血流が大切です。
体を動かす、温めるということはそのためにも必要なことです。
現代の生活は化学物質が多く、老廃物が溜まりやすい上に、仕事も多様化して労働時間も様々、そして仕事に多くの時間を費やさなければならないために疲労が蓄積している方も沢山おられます。
なので、実際の診療では生活習慣の指導を行うものの、なかなか完璧にこなすことは難しいのが現実です。現に私も完璧になんてできていません。
そのために治療に関しては保険診療内で出来る漢方の処方や必要な場合は市販のビタミン剤を併用していただくことが多いです。
一般的には無月経の治療となると、ホルモン剤投与で月経誘発する治療が盛んではあります。
しかし、ホルモン剤で月経は実際に起こるけれど、それはあくまで外から補充したものであり、自分の体から必要なホルモンを出るようにするレベルには戻っていないと言うことが問題と考えます。
今後妊娠を検討しているが、いきなり不妊治療は・・。ホルモン剤には抵抗がある・・。無月経や月経不順に対して根本的な治療を検討したいと言う方はご相談ください。
ヴィオラクリニック 院長